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白黒でも

赤い色にこだわった監督の話を聞いた。
去年の話である。

そして今年も滋味のあふれる話を聞かせて下さったのは、
御歳80歳を超えた、肩書きでは「元」プロデューサーだけれど、
どの辺が「元」なのかさっぱり分からない。

メモも取らずに一時間弱の作品のリハを聴き、
あそこはこうだ、ここはこうした方が良いとダメ出しをする。

それに雑談をしている時の話がまた面白くて為になり、
舞台袖ではわざと蹌踉けて、慌てる僕を見てニヤリとしたりする。

ダメ出しを受けるのが50代の第一人者二人。
本番当日の開場直前まで確認と修正が続く。

そして幕が上がった後も、昼の部から夜の部に向け、
直す箇所は直して、活かす箇所は活かす。

基本的に舞台に上がるのは、
せっかちで大らかで大雑把で繊細な、
何よりも力量満点な面々で、
進行するのが30代の舞台監督なんていうのは、
この上もなく力量が不足なのは自覚している。

けれどこちらの都合だけ言えば、
学校では教わらない事は山盛りで教わって、
とてつもなく心地良い緊張感がある。

そんな土曜日の深川・古石場
ご来場頂いた多くの皆さんに大感謝なのは勿論の事、
二十代代表の荻ちゃんなっちゃんが、
期せずして別々に「小津映画を観たくなった」と言ってくれたのが、
本当に嬉しかった。

本番翌々日の今日、
「難産の赤ん坊を産み落とした気分」
と形容した、ご本人のメールには、一年近い準備期間を含めて、
僕などには想像もつかない程、万感が籠っていた気がする。

現場は良いなぁとつくずく思う。
そしてその翌日は、今度は生でなく「記録」の現場であったのだけれど、
しみじみ書いていたらカウントダウンなのであるのであるのである。

長々と恐縮であります。
by ma-you-ge | 2010-05-17 23:58

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